平成6年、博多部のまちづくり活動は大きな節目を迎
えました。博多部四自治連合会(奈良屋・冷泉・御供
所・大浜)にそれぞれ「まちづくり協議会」ができ、その
連合体である「博多部まちづくり協議会」が設立された
のです。昭和57年の「このままじゃ博多がのうなる」か
ら始まった、地域住民による勝手連的なまちづくり活動
の、涙の出るような大きな成果でした。
このことを記念し、博多部のみんなに知らしめるた
め、博多部一つになってのイベントをすることになりまし
た。これが「博多灯明ウォッチング」の始まりです。
アイデアの元は、博多の町々にある小さな神社で行
われていた「千灯明」でした。山笠が終わって秋口に
行われ、並べられた蝋燭(昔は、二つに割った青竹を
横にし、砂を敷き、貝殻に油を入れ、紙縒りで芯を作っ
たもの)に子どもが火をつけ大人がうちわで消す。これ
を繰り返し、終わりに子ども達にお菓子を渡す。子供た
ちの健康と成長を願ったものでした(須崎の黒田神
社)。しかし住人の流出で、これらの行事もすたれ、当
時、博多内2〜3ケ所で細々と行われていました。
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この千灯明の願い・想いを博多部的に復活・展開し、博
多部一つとなったまちづくり活動のシンボルとして、また新
しい文化の創造を目指して、街中に灯明を並べることにな
りました。
当初、灯明ウォッチングは「まちづくりの道具」だと考え
ていましたが、今日では、良い意味でも悪い意味でも「大
きなまちづくり事業」になっています。
人間と炎の明り、このDNA的で根源的な関係(影響力)
には驚くばかりです。
■ 灯明ウォッチングの力 ■
・老若男女が参画・参加できる(簡単作業)
・全体の運営や飾り方など、合意手続を学べる
・街中をみんなで飾る(にわかアーティストに)
・地域の良さと悪さを再発見できる
・立場・分野・地域を越えて交流・協働できる
・共同作業の楽しさとダイナミズムを実感できる
・人間としてその感動を共有できる
・地域の公共やソフト・ハードの全てが分かる
・結果として、協働まちづくり実践の一歩となる
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灯明ウォッチングは現在、博多部だけでなく、新し
い「博多移し」として、福岡市内はもとより全国各地
に(外国にも)広がっています。しかし、今恐れている
のは、博多部もそうですが、灯明ウォッチングが自己
目的化することです。
どうして灯明ウォッチングが始まったのか。何のた
めにするのか。何故するのか。「まちづくり」は何なの
か。灯明ウォッチングをやってからでもいいのです
が、みんな真剣に考え、是非ここのところを共有して
いただきたいと思い願っています。
人間はこの炎を操り、あらゆることに利用してきま
した。そして、生活と炎は、人間の住むすべての地
域に絶対不可欠の関係を築いてきました。
炎の明りである灯明は、身のまわりを明るくするだ
けではありません。かつて、航海に出た船にとって
は、闇夜に浮かぶ「灯明台」として、進むべき道しる
べとして使われていました。
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