■ 市民と行政による協働のまちづくり ■
1994.11.5
九州大学教授 今里滋
● 行政のマジック・ワード=公共性 ●
今日は市民と行政の協働作業によるまちづくりということでお話しをします。良
く「住民によるまちづくり」ということが言われますが、しかし、住民だけではまち
づくりには限界があります。福岡市、福岡県、あるいは九州地方建設局などは、
特にまちづくりにとって関係が深い役所ですが、こうした行政の役割、行政の力
は、まちづくりにとっては大変重要です。また、公務員の、集団としての力、仕事
柄の役割や権限、または仕事を離れた場所での、市民としての役割も非常に重
要です。
今からお見せするビデオは、「山笠とまちづくり」と題して、私がテレビでつくっ
てもらったものです。また、福岡市長(講演時は候補)が博多部まちづくりに関し
て語ってくれましたので、約20分間のインタビューをご覧ください。博多部のまち
づくりをご存じない方にとっては導入部分として、私の眼から見て博多部のまち
づくりがどのような問題を抱えているか、また、博多部の問題を福岡市の市長が
どのように考えているか、ということを知るために役に立つと思います。
※最初に、FBS「ないとシャッフル」の番組から、今里教授の山笠参加
リポートの模様が上映される。750年余りの伝統を誇る博多祇園山笠の
風物を交えつつ、昔ながらの狭い町並みの中で緊密なコミュニケーション
を成立させ、祭りの主体となってきた地域コミュニティが危機に瀕してい
る現状が訴えられる。桑原恵一福岡市長(候補)との対談では、山笠に
対する市長自身の思いや市との関わりから、山笠を支える地域コミュニ
ティの再生・活性化へと話題は発展する。福岡と別個のもう一つの町「博
多部」の重要性を両者が再認識するとともに、今里教授によって、総合的
な視点から博多部と新定住構想をサポートする「博多部局」の創設が提
案される。最後に、大学と行政の両方が縦割りを廃して積極的にまちづく
りに取り組むことを約して、対談は締めくくられる。
このビデオを見て、行政の考えもわかったと思います。桑原候補も市長に再選
されたら、この言葉を忘れずに頑張ってほしいですね。
○住民と「公共性」との闘い
さて、これから行政と市民のまちづくりについて、少し学問的な話しをしたいとも
います。行政の世界では「公共性」という言葉が、あたかも「開け、胡麻」の呪文
のよう→
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